平熱通信:旧

ここは世界の片隅にすぎないが、いろんなことが起こる。

「これくらいならお金いらないですよ」と自転車屋は言った。

 午前中に、ハンドルの曲がった自転車を自転車屋で修理してもらう。

 当たり前といえば当たり前かもしれないが、あっという間に直ってしまいちょっと感動する。

 ちょっとネジをゆるめてハンドルを正しい位置に戻し、しっかりとネジを締める。

 ……とまあ、やることといえばそれだけっちゃあそれだけだけど、一連の動きがよどみなくなめらかだったので、なんというか、「いいもの見せていただきました」という気分になった。

 午後、外でちょっと時間をつぶさないといけなくなったので、駅前のスタバで本を読んで過ごす。

 今日から小川洋子の『猫を抱いて象と泳ぐ』を読み始める。

 スタバには一時間ほどいたのだが、20ページも読めなかった。これはもちろん、本の内容に問題があるわけではなく、隣の席に座っていた見知らぬ子供が泣いたり駄々こねたりマクドナルドのハッピーセットについてきたオマケと思われるオモチャを投げたりと大忙しで、その大騒ぎの影響範囲に居てしまったばっかりに、本に集中することができなかったのだ。

 ……それも二人。

 何の因果か、左右の隣がそんな子供だったのだ。

 子供が元気なのはいいことだが、親御さんとしては、ちょっと注意してもいいのではないか、というレベルの喧噪であった。左右の親御さんとも子供を静かにさせる努力をまったくしていなかったように見えたのだが、最近はそういうスタンスが流行りなのだろうか。