平熱通信:旧

ここは世界の片隅にすぎないが、いろんなことが起こる。

知らないことがあふれてる。

ぼくはそんなにたくさん本を読むヒトではない。

……のだが、どういうわけか、本屋を散歩するのが昔から好きなのだ。

大型書店の一階(もしくは地階)から最上階へ。

雑誌、文学、マンガ、哲学、医学、絵画、経済、技術、写真、学習参考書(っていうかもっといろいろ)。

ならべてある本の、表紙や背表紙を眺めながら、だらだらと歩くのが好きなのである。

散歩のコースは単純で、要するに、本屋の下から上まで適当に歩く。

その売り場にある本に興味があるかどうかはあまり関係ない。

興味を引かれた本があれば、手に取ったり、そのまま買ったりもするけれど、莫大な数の本がならべてある本屋において、自分が買いたくなる、というか、読みこなせる本なんてたかがしれている。

「表紙にタイトルが日本語で書いてあるのに、何の本なんだかさっぱりわからねえ。ははは」

などと思いながら歩くのが好きなのだ。

大きな本屋を歩いていると、世界には、知らないことがたくさんあるということがよくわかる。

というか、知らないことだらけだ。

手に負えないくらい知らないことがあふれてる。

……と感じることが、なぜかちょっと心地よく、安心するのである。

(この気分、もうちょっとちゃんと考えてみたいような気がしてきました)

そんなわけで、池袋西武百貨店のリブロ閉店という事実に心を痛める昨今です。

貴重な散歩コースがなくなってしまう……。