平熱通信:旧

ここは世界の片隅にすぎないが、いろんなことが起こる。

サロンパスを貼っていて思ったこと。

「痛気持ちいい」という言い回しがある。

ちょっと痛いんだけど、その痛みが、むしろ気持ちよくなっている状態だ。

あと、「甘辛い」という言い回しもある。

甘みの中にちょっとした塩味がかくれている、という状態だろうか。

 

本来は反対の意味の言葉が共存しているわけで、ちょっと不思議な語法といえるのかもしれない。「ダサかっこいい」とか「ヘタウマ」とかもこの仲間なのかな。

(他の国の言葉でもこういう言葉の使い方ってするのだろうか)

 

もちろん、すべての言葉がうまく共存できるわけではなくて、たとえば、「暑寒い」という言い方はたぶんないような気がするし、「暗明るい」みたいな言い方も、聞いたことがないように思う。

 

……と、ここまで書いてみてふと思ったのだが、上に書いた「本来は反対の意味の言葉が共存している」という前提が、ちょっと違うのかもしれない。意味としては反対に近いんだけど、もともと同じグループにいた言葉が、共存できる……のだろうか(書きながら思いついたことなので、あまり自信はないんだけど)。

 

「痛い」と「気持ちいい」は、実は同じグループの言葉。

なんとなーく、説得力があるようなないような気がしてこないだろうか。

この仮説に従えば、「甘い」と「辛い」も、同じグループということになる。この、グループ、というくくり方が我ながらうさんくさい。何か、うまいこと説明できないものだろうか。

 

そういえば、「好き」と「嫌い」が共存する言い回しってあるのだろうか。

僕がたまたま知らないだけで、ありそうな気はする。

その対象は場合によって違うのだろうけど、たとえば「好きだけど嫌いな人」なんて、ある日突然、運命的な感じで、目の前に現れてきそうじゃないですか。