平熱通信:旧

ここは世界の片隅にすぎないが、いろんなことが起こる。

容疑者はトイプードル。

ふと目を覚ますと、午後11時50分なのであった。

昨日の出来事である。
どうやら、いつの間にか眠っていたようだ。たぶん、いつもより少し多めに飲んでしまったビールのせいだろう。
 
「あと10分かー」
 
実は、ここ2週間ほどブログを毎日更新していたのだ。人によっては全然たいしたことのない話なのは重々承知の上でいうと、個人的にはちょっとした記録だったのである。我ながら、「いつまで続くのかしら」などと、興味津々ではあったのだ。
ちなみに、今日はまだ更新していない。下書きもないし、書くことも思いつかない。なにせ、まだ眠気の波に飲み込まれている最中なのだ。そもそも頭がまわらない。
 
残り時間は、あと10分。
 
「書くことないけど更新しちゃうゾ、てへぺろ
 
……みたいなことを1行書いて更新するという手もあるけど、そこまでするのもねえ、と思い、潔くあきらめることにしたのである。
ちょっと残念だけど、ま、人生そんなもんよ……などとつぶやきつつ、再び眠ってしまったのだ。
 
ところが、である。
その後、午前1時に目が覚めたときのことだ。
枕元には携帯が放置してある。ロックを解除してみると、ブログ更新アプリが開いたままの状態だ。あれ、アプリ開いてたっけ、などと思いつつ画面を見ると、なんと、ブログが更新されているじゃーあーりませんか。
ほんの数行、それも、どうでもいいような内容で。
まず思ったのは、
「誰が書いたのだ」
ということだ。無意識にあたりを見回してしまったが、あやしい者などいるはずもない。
ちょっと気になるのが、僕が起きたときの物音で目が覚めたらしく、仰向けになって「おなかなでてくだたい」のポーズをとっている愛犬なのだが、たぶん、この件については関係ないだろう。
 彼女の手の構造から考えると、僕の携帯の指紋認証を突破できるとは思えない。
 
その、どうでもいいような内容といい、なんとなく漂ういいかげんな雰囲気といい、まあ、僕が書いたんだろうなあ、と思うしかないのであるが、ここまで記憶に残ってないというのは初めての経験だ。
眠い目をこすりながらブログを更新し、翌日には書いた内容をほとんど覚えていない、ということは時々あるのだが、書いたこと自体を忘れてしまうとは。
 
犬のおなかをなでながら、
「お前じゃないよねえ」
と、小声で聞いてみた。
彼女ときたら、そういうときに限って、実にジャストなタイミングで、
「ぁうん」
 
とか返事をするのである。