平熱通信:旧

ここは世界の片隅にすぎないが、いろんなことが起こる。

もうすぐ雨が降る。

深夜から雨が降り始め、明日は基本的には雨模様らしい。

 

なんとか前線とか気圧の谷とか過去数十年蓄積されたデータから明日の天気が予想され、その予想の当たる確率が百分率で発表されたりする。

その確率は20パーセントだったり80パーセントだったりするのだが、結局のところ僕たちは外出するときに傘を持っていくか持って行かないかという二者択一にしか興味がないので、ある意味確率は半々になる。

雨が降るかもしれない日、我々が取る選択肢と結果は以下のように分類できる。

1・傘を持って出かけて雨が降ってくる。

2・傘を持って出かけて雨が降らない。

3・傘を持たないで出かけて雨が降ってくる。

4・傘を持たないで出かけて雨が降らない。

この賭けにおいて、僕たちが勝つのは1と4、負けは2と3になる。4つの選択肢の中に勝ちがふたつ。確率は50パーセント。

 

……などと言いつつ、実は自分が正しいことを言っているとは思っていないし、正しい正しくない以前に、だから何なんだ、という話ではあるのだが、この手の話は、勢いとムード次第で妙に説得力が出たり、何かとても大事なことを言っているように聞こえたりするから注意が必要だ。

言葉は魔法の呪文なのである。

同じものを美しくも醜くも見せることができるし、正しいようにも誤っているようにも見せることができる。ということはつまり、この世界に断言できるものはそれほど多くないということなのかもしれない。

そのわりには、世の中、断言好きとか断罪好きの人は意外と多いようだ。

断言とか断罪するときの言葉は強いものになるので、言うほうはスカッとするんだろうけど、聞いてるほうが毎回スカッとするとは限らない。

 

もうすぐ雨が降る。

傘はどうしよう。