平熱通信:旧

ここは世界の片隅にすぎないが、いろんなことが起こる。

戦いすんで日が暮れて。

今朝、乗っていた電車が人身事故で止まる。

まずい。今日は娘の学校の体育祭なのである。多少、余裕をもって自宅を出てはいるのだが、事故の復旧に時間がかかると開会式に間に合わない。

 

そこそこ混んだ電車の中で、つり革につかまりじっと立つ。事故の規模とか復旧の見通しといった情報が入ってこないので、動くに動けない。たとえば、もう午前中は復旧の見通しなしということになれば、電車を降りて別の手段を考えたりもするのだが。

いつまでこうしていればいいのかわからない、という状況は、けっこう疲れるのである。

「あれー、今日、体力勝負をするのは娘のはずなのになー」と、間の抜けたことを考えてみる。娘は僕より1時間ほど早く出発しているので、今頃は現地に着いているだろう。まあ、事故に巻き込まれたのが娘じゃなくてよかった。

結局、電車が動き出したのは事故発生から1時間後で、当然のごとく開会式には間に合わず、それどころか娘が出場する競技を一つ見逃してしまった。

昨日、「神頼み」だの「げんかつぎ」だのあんなにいっていたのに、この有様である。ひょっとすると、この世界に神様なんていないのかもしれない、と一瞬思う。

 

結局のところ、我が紅組は3チーム中3位という、当初の予想通りの順位に落ち着いた。結果は残念なものであったが、見ていて面白いイベントではあった。

なにかに勝てばぎゃあぎゃあ笑い、なにかに負ければぎゃあぎゃあ泣きだすような女の子が数百人も出場するのである。そりゃあ面白いだろう。なぜいちいちぎゃあぎゃあ騒ぐのかというと、たぶん、夢中になっているからなのだ。

誰かが本気で何かに夢中になっている様子というのは、見ていて飽きない。なぜかちょっとうらやましい気分になることもある。

 

あまりにもぎゃあぎゃあとうるさいので、観客席で聞いているほうとしては、ちょっと耳は痛くなってきたけども。