今年だってそこそこ暑かったはずなのに。
何年か前に壊れたエアコンを、今年ようやく取り換えることができた。
猛暑とよばれるここ数年の夏の日々を、よく耐えてきたものだ。偉い、というか、命知らず、というか、ケチもここまでくるとたいしたものだ、というか。
ところが。
新しいエアコンが導入されてからめっきり朝晩涼しくなってしまい、まだ一度もスイッチを入れたことがないのである。
なんだかもったいない。
明らかに何かが間違っている考え方ではあるのだか、目の前にボタンがあるのに押したことがない、というのはなんだかもったいないような気がするのだ。
というわけで、先ほど、特に用事はないものの、エアコンのスイッチを入れてみた。
ピッと音がして、本体のランプがいくつか点灯した。そのたびに「おお」と言う自分がやや情けない。
耳をすませば、小さく機械の動作音が聞こえてくる。機械が我が家に導入されたことをひしひしと感じる。
少し後、僕はエアコンのスイッチをオフにした。
うっすらと寒くなってきたのである。
やはり、暑くもない日にエアコンのスイッチを入れるのはよくない。
と、当たり前の教訓を噛みしめつつ、リモコンを置くのであった。