人にあらざるものたちについて。
今日は朝から暑かった。
外に出ると「もわん」とした熱気が体を包み、背中がじわじわと汗をかいてくる。
暑すぎるのはなかなかやっかいだが、歩くこと自体は嫌いではない。ましてや今日は久々の家族全員行動だ。わざわざ事前にチケットを購入するようなイベントに家族で出かけるなんて、ひょっとしたら年単位くらいのご無沙汰なのかもしれない。
あ。
そうだ。犬は留守番なので、家族全員ではないのだ。家族マイナス1行動が正しい。
歩きながら流行りの『ポケモンGO』でもやってみるかと携帯を取り出すが、天気が良すぎて液晶画面がよく見えないのと、携帯自体が妙に熱くなっていたのですぐにバッグに放り込んだ。ただでさえ暑いのに、その上ぬくいものを握って歩くのはちょっと遠慮したい。
『ポケモンGO』といえば。
僕はまったくといっていいほどポケモンに関する知識がない。さすがにピカチュウさんくらいは知っていたけど、このゲームの中で一番価値が高い、というわけでもないらしい。なにせ有名人(人?)なので、彼(彼?)が一番えらいのかと思っていたのだ。
ということで、僕の中のモンスターの価値、というか、お気に入りは、単純にルックスで決められている。
たとえば、トサキント姉さんだ。
色がピンク色で、なんとなく目つきが色っぽいので、勝手に姉さんと呼んでいるが、実際の設定にそういう要素がなかったらごめんなさい。魚っぽいルックスでいうと、いつも虚ろな目をして横たわっているコイキングさんの健康状態を陰ながら心配しております。
マダツボミさんもいい。
威圧感のない黄色い頭、邪気のない丸い瞳、なんかポカンと開いた口。きっといい人(人?)に違いない。見ているとなんとなくほっとする。
それはともかく。
今日は朝からエアコンが大活躍なのであった。留守番担当の犬が部屋の暑さでコイキングさんのようにならないように、設定温度は28度にしてみた。「もうちょっと温度を下げてほしいワン」とか言ってくれると温度設定にも迷いがなくなるのだが。
犬が快適に過ごしてくれることを祈る。
それにしても。
ポケモンには「さん」付けをするのに、愛犬を「犬」と表記するのはバランスがおかしいような気がしないでもない。
今後、犬のことは名前プラス「さん」付けで書くことにしようか。
我が家の愛犬は「くり」という名前で、僕が命名した。
何故「くり」なのかというと、瞳がくりくりとまん丸だったからだ。
コロッケみたいな輪郭の端っこに、小さくて丸い目がポチポチと付いていて、口をポカンと開けているような子だったのだ。気難しい性格ではなさそうだけど、番犬にしてはいけないタイプ、というか。
……なんとなく、マダツボミさんとチャームポイントが重複する部分があるような気がしないでもない。