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平熱通信

ここは世界の片隅にすぎないが、いろんなことが起こる。

願望。

願望といえば、この夏期休暇中の天候が安定するように、天気担当の神様にお願いをしていたのである。
休暇中すべての日がムリだったら、28日(日)だけでもいいから、と、実はこっそりお願いしていたのである。

「夏の暑い日中に屋外の広い会場で入れ替わり立ち替わり歌ったり楽器を演奏したりするのを見物する催し物」、つまり夏フェス、もっといえば「World Happiness 2016」で、一番観たいバンドの演奏がはじまる少し前、けっこうしっかりとした雨が降り始めたのであった。
ま、まさかこのタイミングで。
神様は僕のリクエストを聞き入れてはくれなかったのか。
それとも、天候が安定しない上に台風まで近づいているここ数日だけに、神様の力をもってしてもここまでが限度だったのか。
……何万人集まっているかわからないこの場所で、神様に対してごにょごにょつぶやいていたのはおそらく僕だけだろう。

それにしても、感心したのは野外フェスに集まる人々の雨ガッパ準備率の高さである。
傘の使用が禁止されているとはいえ、見る限り、着用率はほぼ100%だったのではないだろうか。僕の視界に入る限りでいうと、雨対策まったくなしという、(たぶん)年上男子が一人だけいたのだが、みるみるうちにずぶ濡れになっていき、「この人、このままでは電車に乗せてもらえないのではないか」などとえらく心配になってしまった。マイカーで来ているといいのだが(座席はびしょびしょになるとは思うけど)。
「天気予報を鵜呑みにして雨対策を怠るのは素人がやりがちなあやまちなんだよね」
などと思いつつ、僕は僕で100円ショップで昨日あわてて購入した雨ガッパの丈の短さに困らされていたのであった。よくよく見るとこの雨ガッパの商品名は「レインパーカー」で、「レインコート」ではない。なるほど、丈が短いのはそういうわけか、パーカーならしょうがないよな、などと、降りしきる雨の中で納得はしたものの後の祭りである。なにせ夏フェス初参加なのだ。僕こそがド素人なのである。

見渡す限りいっぱいの雨ガッパの集団が音楽に合わせて左右に体を動かしている様子は、なかなかの見物であった。そもそも、これだけまとめて雨ガッパを着た人間を見たことがない。
ステージからのライトに照らされて、数百数千の雨ガッパが左右に揺れている。これを何かに例えると、「巨大化して意思を持ったてるてる坊主の集団」だろうか。
来年、同じような機会があったら、もっと立派なてるてる坊主になろう、とか思いつつ、丈の短いてるてる坊主は、眼鏡を濡らしながら左右に揺れていたのであった。