平熱通信:旧

ここは世界の片隅にすぎないが、いろんなことが起こる。

呆然バネ棒日本刀。

ドラゴン・クエストX』で、一年以上前から続いていた(わりには3話しかなかった)サブ・ストーリーの最終話を終わらせる。
なんというか、とても悲しい気持ちになる。
冒険者としてのこれまでの生き方に、あやまちがあったのだろうか……というようなことをつい考えてしまうようなストーリーに、コントローラーを握ったまましばし呆然となる。いや、ちょっと大げさに書いてはいるけど、呆然となったのは本当なのだ。
ちなみに、自分でクリアする気はないもののサブ・ストーリーの内容は気になるという娘にあらすじを話したところ、聞きながら泣き出してしまったのであった。まさか現役JKに泣かれるとは思わなかったので、これはこれで呆然となったのであった。
このストーリーについては、後日談的なものがあるといいなあ、と思う。

夕方、雨が止んだすきに池袋は東急ハンズへ。
腕時計のベルトを付けるのに必要な「バネ棒」という、ひたすら地味なパーツを買う。
ちなみにこのバネ棒、腕時計関連のパーツなのだが腕時計売り場にはない。一瞬、「え、なんで?」と思ってしまったのだが、よく考えるとそれは「おにぎり売り場に海苔がいっしょに売ってないのはおかしい」というのと同じかもしれない。あれ、違うかな。
ところで、どうでもいい豆知識を書くと、東急ハンズ池袋店で「バネ棒はどこにありますか?」と聞くと、店員さんによっては工具売場のある一角に案内してくれるのだがこれは間違いである。正解は「時計修理コーナーに行って係の人に聞くと修理用パーツの入った棚から出してくれる」だ。まあ、使いどころのない豆知識ではある。
バネ棒は1本200円であった。これが500円とかだったら男らしく買うのをあきらめて帰るところである(男らしいか?)。ないと困るとはいえ、シャープペンシルの芯の三分の一くらいの長さの金属の棒なのである。100円くらいでもよかったのになあ、と思いつつ2本購入する。

そういえば、池袋駅の構内で、帽子を目深にかぶり、顔の下半分は薄いマフラー状の布で覆い、背中に背負ったリュックサックからは日本刀の握る部分(柄っていうんでしたっけ)がはみ出している、という、なかなかインパクトのある男性を見かけた。
こうして言葉にしてみると、あやしい雰囲気しかしないような人物なのだが、僕を含めた周辺の人々は特にあわてることも騒ぐこともなく、そのうち彼は人ごみに紛れ込んで見えなくなってしまった。
おそらくみんな、特に根拠もなく「レプリカの日本刀をリュックに入れている寒がりの男の人」というような脳内変換を行っているのだろう。これが「本物の日本刀をリュックに入れて正体がばれないように顔を隠してどこかに斬り込みに行こうとしている男の人」だとなかなか大変な話だし、そういう可能性がまったくないとはいえないが、そこに疑問を抱くのはなかなか勇気がいることだ。
まわりの誰も騒いでないから大丈夫だろう、というのは人間の心の動きとしては自然なことではあるが、思わぬ大惨事、というのはそういうところを狙ってやってくるのだろう。
いやまあ、だからなんなんだ、という話ではありますが。