平熱通信:旧

ここは世界の片隅にすぎないが、いろんなことが起こる。

夜明け前。

 深夜、激痛で目が覚める。

 足がつったのだ。

 体質なのか何かの栄養が足りないのか、時々、夜中に足がつるのである。

 経験のない人にはさっぱり伝わらない類いの話ではあるが、寝ている最中に足がつるほど悲しいことはないと思う。

 痛いだけならまだしも、深夜だけに眠いのである。

 眠いのに痛くて眠れないというこのせつなさ。

 その上、前触れもなくいきなりやってくるという理不尽さ。

 今回のは、これまでの人生で最大級といっていいほどのつりっぷりであった。

 ふくらはぎの無駄な肉が、ひきつることで膝方向に引っ張られて目立たなくなり、アスリートのようにシャープな脚になってしまった。一瞬、お、これはカッコいいと思ったのだが、思ったからといって痛みが和らぐわけでもなく、ただただ痛みが去るのを待ちながら、白々と明けていく空を見つめていたのであった。

 大の大人がふと泣きたくなる瞬間というのは、こういう時なのではないだろうか。

 ……というように、不幸な始まり方をしてしまった今日ではあるが、会社帰りの品川駅でちょっとしたハプニングに遭遇した。

 リットン調査団藤原光博を目撃したのである。

 これがどの程度のハプニングなのか、これを書いている今の時点では計りきれていないのだが、藤原氏は僕と誕生日が一緒なのだ。

 だからどうした。