平熱通信:旧

ここは世界の片隅にすぎないが、いろんなことが起こる。

チャージ。

 小説を読むのが楽しい。

 そんなこたあ、ずっと昔からわかっていることなのだが、最近、開き直ったというか、ふっきれたというか、再び、↑のようなことを公明正大に思うようになった。いや、公明正大というのは、こういうときに使う言葉ではないか。

 僕はいいトシをした大人なのだが、いわゆる「仕事に役立つ本」とか「人生に役立つ本」の類がまったく読めないようなのだ。今までの人生の中で何回か、一大決心して、その手の本を手にとってみたのだが、どうしても面白く読めないのである。

 面白く読む才能がないのか、それとも、面白くないものを読み進める力がないのか、それすらよくわからないのだが、とにかく、読めない。サラリーマンとしては、面白かろうが面白くなかろうが、そういう「役に立つ本」を読みこなしたりして、お給料を増やそうとか偉くなろうとか思うべきではなかろうか。

 それができないって、大人としてどうなのよ、と世帯主であり妻帯者であり保護者である身としてはちょっと考え込んだのだが、ようやくあきらめがつきました。

 要するにまったく興味がないのである。仕事とか人生といったことに。

 まあ、しょうがない。そういう家主で夫で父親もたまにはいるのだ。

 そんなわけで、文藝春秋の「はじめての文学」シリーズを読むのが楽しい。

 中学生向けだか高校生向けだか知らないが、装丁が可愛いのがいい。