平熱通信:旧

ここは世界の片隅にすぎないが、いろんなことが起こる。

インターミッション。

夕方に面白いことがあった。ちょっと画期的というか、予想もしない展開であった。

まさか、僕とダニエル・ラドクリフが似ているとは。もちろん、ハリー・ポッターを始めたばかりの頃の、愛くるしくてキュン死するような彼ではない。ハリー後期以降の、美少年度が下がりおっさん度が上がったダニエルが、角度によっては僕と似ていないこともないように見えることがないわけではない、ということが判明したのだ。それも夕方突然に。そしてもちろん定時後に。定時内はちゃんと仕事してますよほんとですよ。

 

もちろん、ダニー(親しみが増してきたので馴れ馴れしく呼ぶことにした)はイギリスの人気俳優で、こちらは日本のしがないサラリーマンだし、年齢もかなり離れているので、瓜二つ、という感じではない。詳細に各部を比較すれば基本的にはそれほど似ていないと思われるのだが、全体的な印象という意味でいうと、似ているように見える時がある。顔のどこかに(見る角度によっては)似ているパーツがいくつかあり、それがごくまれに、似ていない部分を補完するような錯覚を引き起こすのかもしれない。

とりあえずの対応として、LINEの登録名をミドクリフに変更してみた。

 

あと、会社の帰りに買った本がやたらと面白かったり、久々(でもないか)に飲み会の調整をはじめたりと、今日は後半が充実していたといってよい。

この飲み会のメンバーは、かつて同じ現場で働いたことがあるというつながりしかないはずなのに、妙に面白い人がそろっている。面白いというより、何か少し変だ。その変さ加減をうまく説明するのは難しいけど、ほんの数センチ、他人とずれたところを歩いている人たちなのである。つまり普通の道は歩けるけれど、その道が平均台みたいに細くなったら転げ落ちてしまうような人たちだ。

とはいえ、「どんなやつでもひとつくらいは、人に言えない秘密を持っているのさ」という歌にもあるように、けっこう誰もがそういうものなのかもしれない。「俺たち他よりもかなりヤバいよね」とか「この広い世界でこのメンツが集まったこと自体が奇跡」とか言い合っているグループがこの世には星の数ほどあるのだろう。毎回、「この人たちなんかスゲー面白いなあ」などと思っている僕らのグループも、実はそんな中のひとつに過ぎないのである。

まあとにかく、楽しみな飲み会が来月ありそうだ。楽しみな飲み会はいい。楽しみじゃない飲み会はけっこうつらいからな。

 

だらだら本を読んだりLINEで飲み会の予定を調整したりダニーのことを考えたりしているうちに一日が終わろうとしている。

今日はそういう日なのであった。