平熱通信:旧

ここは世界の片隅にすぎないが、いろんなことが起こる。

おおらかな奴、おおまかな奴。

会社の休憩室にある自動販売機で飲み物を買おうとして、suicaをあてるべき箇所に入館証をあててしまった(ちなみにそういうときって、エラー音が出るんですね)。
後ろに人の気配がしたので、おそるおそる振り返ってみると、女性が一人立っていた。僕の後にこの自販機を使おうと思っていたのだろう。
その女性は、僕が振り返るスピードと同じくらいのスピードで、ゆっくりと後ろを向いている最中であった。おそらく「私は何も見ていません」という体裁を作ってくれようとしたのだろう。
ただ、残念なことに、その動きがあまりにもぎこちなく、「僕がsuicaと入館証を間違えたところを見てしまったんだけど見なかったことにしようとしている」感がありありと漂っている。
この人は、きっと性格のいい人なんだろうな、と思いつつ、急いでコーラを買い、逃げるようにその場を後にしたのであった。

よほど注意力が散漫なのかぼんやりしているのか、この手の間違いを時々起こすのだ。
会社のビルに入る時に通るゲートの入館証をあてるところにsuicaをあてるとか。
電車の自動改札に向かいながら、ポケットからマンションのカギを出してしまうとか。
かかりつけの病院で診察券を出したつもりがTSUTAYAのカードだったとか。

モノや行動の把握の仕方がおおざっぱすぎるのだろうか。
ポケットからなんか出せばいい、とか、財布に入っている青っぽいカードを出せばいい、とか、その程度の基準で行動していることが多いのかもしれない。
そういえば、人の顔を覚えるのがわりと苦手なのだが、それもこれも関連のある話なのかもしれない。全体的に、モノの見方がテキトーなのだろうか。
なんにせよ、時限爆弾の処理とか、そういう仕事はしないほうがいいタイプなのだろう。
「なんかね、この爆弾を解体するには、コード切らないといけないんだって。何本か切れって言われたよ。コードの色? 個人的には緑色が好き」
とか言いながら、大惨事を起こしてしまいそうだ。