平熱通信:旧

ここは世界の片隅にすぎないが、いろんなことが起こる。

フェスに行くと決めたのだ。

WORLD HAPPINESS 2016という夏フェスに行くことにした。

いや、行くことを決意したのは今日じゃなくて、もっと前だったのだけど、申し込んでいたチケットの発行日が今日だったのである。実際にチケットを手に取ると、「おお、行くんだな」という気になってくる。恥ずかしながら、けっこう気持ちが盛り上がってしまった。

夏フェスへの参加に関しては、この一年近く悩み続けたのだ。
「行ったら面白いんだろうな」
「でもお客さんはヤングばかりなのかな」
「フェスに不慣れなことがバレたら、他のお客さんにバカにされたりするのかな」
「そもそもいい歳したおっさんが一人で行っても大丈夫なのだろうか」
「体力は持つのだろうか。熱中症とか」

……圧倒的にネガティブな内容の葛藤が多かったのだが、結局のところ興味には勝てず、一万円近くするチケットを購入したのであった。

こういうイベントのチケット代の相場を知らないのだが、単純にいって、一万円は高い(感想には個人差があります)。

薄給のサラリーマンとしては、予算の確保もなかなか大変だった。
まず、腰まであった黒髪をばっさりと切り、業者に売った。
あと、お気に入りの懐中時計も売り払い、自動販売機を見るたびに釣り銭出口に指を突っ込み、最終的には売血もした。
……僕にとっての一万円の価値をわかりやすく説明するため、やや誇張して書いているところもあるが、まあ、気持ち的には、それくらいの決意に満ちた出費だったのである。

そりゃあ、チケットを手にしただけで気持ちも昂るってものだ(「たかぶる」って漢字でこう書くんですね)。

さて。
現在のところ、今年の参加アーティストは以下の通り。

・METAFIVE
スチャダラパー
電気グルーヴ
東京スカパラダイスオーケストラ
ムーンライダーズ
・Ykiki Beat
大森靖子
・GLIM SPANKY
・ポカスカジャン

半分くらい知らない人たちだったりするのだが、知っているグループのラインナップだけでもう充分豪華といっていい(感想には個人差があります)。

このラインナップを見ると、どうしても、

電気グルーヴにMETAFIVEの砂原良徳が混ざって「Shangri-La」を(ごくオーソドックスなアレンジで)やったりしないかな

とか、

東京スカパラダイスオーケストラとMETAFIVEの高橋幸宏で「WATERMELON」をやらないかな

とか、

スチャダラパーとMETAFIVEの小山田圭吾が「今夜はブギーバック」をやらないかな

とか思ってしまうのだが、これはもう、まったくもって古い世代の懐古趣味なのだろうなあ。

ある時代、ある時期、音楽の嗜好に関するグルーピングに「渋谷系」なるものが存在していたあの頃、カセットテープやMDやCDで音楽を聴くのが楽しくてしょうがなかった人たちがいて、僕もそんな中の一人だったのだ。
よくも悪くも「あの頃」をリアルタイムで体感していた世代としては、ついつい、そんな想像をしてしまうのである。

それはそれとして、熱中症対策に、帽子でも買うか。

ちなみに、8月28日(日)開催である。

休日出勤にならないことを祈る。